2015年7月3日金曜日

世界で広がる同性婚と日本

「世界で広がる同性婚と日本」

<日本経済新聞2015年7月2日朝刊社説欄より転載>

当日の日経新聞は経済には直接関係なさそうなこのニュースを社説でとりあげ、また手際よく、客観的見地から日本社会へのインパクトの意義を解説しています。下手な解説ぬきに全文そのまま転載させていただきます。

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米国の連邦最高裁判所が、同性間の婚姻について合衆国憲法の下の権利であるとの判断を下した。

これにより全米で同性婚が合法となる。すでに英仏などの約20の国が同性婚を法律で認めているが、 米国で合法となった影響は大きい。

米国では以前から、同性愛者など性的少数者の平等を求める運動や、社会生活を支援する仕組みが地道に続いてきた。街なかにNPOが交流施設を設け、国や自治体が資金を援助する例などが知られる。こうした積み重ねで性的少数者の状況について一般の人々の理解も進み、今日に至った。

人の性は多様だ。体の性別。自分をどちらの性と認識しているかという心の性別。服装や言葉遣いなど装いの性別。恋愛相手は異性か同性か両方か。これらの組み合わせで性は多様になる。同性愛もそうした性的な個性の一つだ。

電通の今年の調査では、性的少数者は人口の7.6%。周りに公表しているかどうかは別として、学校の教室や職場、地域にごくふつうにいるということだ。

何らかの少数派に属する人が、差別や偏見により能力や意欲を発揮できないとすれば、本人だけでなく社会や組織にも損失だ。こうした視点から、日本の企業でも性的少数者の不利や不便をなくす取り組みが広がっている。

日本マイクロソフトは性的少数者の社員によるグループを作り、人事部と協力し、働きやすい職場環境の模索や就業規則の見直しに取り組む。経営者や管理職が心得るべきことを専門のNPOなどから学ぶ大手企業も増えている。

同性愛者の「結婚式」を開くホテルやテーマパークも登場した。

東京都渋谷区は同性のカップルに対し、結婚相当の関係と認める証明書を発行する。これで病院での面会や不動産の契約で、同性愛者が不快な思いをする事態が減る。

世界の流れは、性の多様性を社会が認め、組み込む方向にある。

米最高裁判決はその象徴だ。日本も性的少数者がふつうに暮らせる社会に向け議論を加速したい。

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<補足>

日経新聞は6月26日の米連邦最高裁判決の翌27日朝刊一面で、「同性婚、全米で合法」の見出しでワシントン支局発の第一報を世界の動きもふくめて要領よくまとめて報道した。また7面でも「同性婚容認、政権に追い風」と政治への影響もかなりくわしく解説している。さらに同日の夕刊でも同性婚合法化が2016年の大統領選挙にあたえる影響を報じている。

本来なら経済記事が中心になる新聞がこのようにLGBT問題を取り上げるのには、やはり社会全体への影響を考えると決してマイナーな問題ではない、とのマスメディアしての認識があるのではないかと思います。しかも変な色づけをせず、客観的報道に徹しているのがわかります。その意味では日経新聞の報道姿勢には拍手を送りたいです。

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